Deutschland Vol.2 Deutschlandのこと

DeutschlandはHowaldtswerke(現在のHDW、Howaldtswerke-Deutsche Werft AG、ドイツ最大の造船所)で1953年に建造されました。

★スペック

全長114.55m、全幅17.70m

10両の客車または24両の貨車を搭載可(客車の長さは何を基準にしているのか不明)

もしくは乗用車を90台積載可能。

乗客1,200名

排水量4,900t

MAN社製ディーゼル G8 Z52/90型(3,000PS)2基搭載

日本の鉄道連絡船というと青函連絡船、宇高連絡船が有名ですが、私の馴染みがある宇高連絡船に比べるとかなりスマートです。波が静かな瀬戸内海で、鉄道車両の般出入をスムーズにというニーズだと線路を平行に並べる構造でどうしても船そのものが四角い感じになってしまうので仕方ないのかもしれませんね。日本では、客車輸送は数年しか行われなかったのに対して、欧州では現在でも客車輸送が行われています。

1953年に就航したのがGedser(デンマーク)-Gressenbrode(ドイツ)間です。地図で赤い線を引いてあります。左下がドイツのGressenbrode。現在はこの路線はありません。

1950年代のGressenbrodeのヤードの様子

同時期に同じ航路に就航していた船は

Danmark  (1951-1963)

Dronning Ingrid (1953-1963)

Freia (1953-1957)

Kong Frederik IX(1954-1957)

Broen (1957-1957)

Theodor Heuss(1957-1963)

があります。その後、1963年-1972年まではRodby(デンマーク)-Puttgarden(ドイツ)に就航します。

これは1963年にFehmarn(フェーマルン島)との間に橋が完成したため、以降連絡船はFermarnのPuttgarden港に拠点を移したためです。航路が1/3(約20km)になり、この航路は現在でも連絡船が就航しています。

1953年から1972年まで19年間バルト海で就航していたDeutschlandはその後インドへ売却(未確認)されたようです。1972年からはDeutschland II (IIって呼ばないって話もあり・・・不明)が就航しています。

推進用のプロペラは2軸です。

艦首下にはシュナイダープロペラが装備されています。ラダーの角度を変えて360度どの方向へも推力が出せます。接岸時の強い味方ですね。

後部ハッチは開放可能で、3列の線路が見えます。平行になってるわけでなくて、手前桟橋部分で3分岐して斜めに入っていきます。ですので、同時に出し入れはできない構造になっています。

艦首部分もハッチが開閉します。こちらは幅の関係もあって線路は1本だけです。3分岐のポイントが船内にあるわけではなく、実際には船から6本の線路が桟橋につながります。桟橋の先で1本に合流するようなポイントになっています。(言葉で説明しづらい・・)余談ですが、車両甲板は線路間に板が張り巡らせてあり、こんな感じで車も乗せてしまいます。Deutschlandは車両甲板が1段のみですが、Theodor Heussだと2F部分に車専用の車両甲板があります。

こちらは進水式の模様。Deutschlandではなくて、Theodor Heussです。

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