2-1. BackEMFコントローラ(DEP1)

※このコントローラはDCCコマンドステーションではありません。

  

2008年のことになりますが、ZゲージをDCC化するためには車両を改造しなければならず、躊躇される方もいらっしゃるのでアナログ車両(オリジナル)のままでBackEMFや超スロー運転を体験できるようなコントローラはできませんか?と永末さんにご相談したところ、快く引き受けていただいて完成したのがDEP1です。

BackEMFとは、ざっくり言うと下り坂で早くなったり、上り坂で遅くなったりを自動的に制御して同じ速度で走らせるための機能です。ジェットコースターのような走りにはならないということですね。モーターからフィードバックをもらって自動的に制御します。

この製品は、DCCデコーダにボリュームのつまみが付いたものだと考えるとわかりやすいかもしれません。ようするにデコーダと同じPWM信号でモーターを回して問題なく走行するかが簡単にわかるということです。

こちらは赤い箱でおなじみのDP1です。箱の色も同じで名前も似ているので混同されている方も・・

制作のもう一つの理由は、メルクリンの車両にデコーダを搭載しても動作がいまいちだったりモーターが過熱するなど、そもそもの原因は整備不良にあるわけなのですが、車両の状態をアナログで確認することにあります。ただし、メルクリン純正のアナログパワーパックでは、電圧を変えるだけですので、常時最大電圧のパルスを使用するPWM制御とは動作が異なります。

DEP1で走行中。3.5Vの電圧で170mAの消費電流はいい感じ。。

整備不良だと337mAとかひどいものは500mA以上流れることもあります。500mA以上だとモーターから煙がでる場合もありますので、DEP1で最大電流を制御して焼損を防ぎましょう!

少しでも簡単にDCC化できるようにDE25szrx4というドロップインデコーダも制作していただきましたが、1972年から構造的にはまったく変わらないメルクリンはモーターのブラシ交換は当たり前、分解掃除も当たり前で必ずしも調子よく走るとは限りません。アナログ(オリジナル)で快調に走ることがDCC化の前提条件になるかと思います。

「勝手に分解しないでください。」とか「分解すると保障対象外になります。」といった製品とは違って、製品に同梱はされていませんが分解図や各パーツ番号表がメーカーから提供されているのがメルクリン製。40年前の製品でも、パーツを交換すれば元の状態で快調に走ります。

同梱の説明書には、20時間くらい走らせたらブラシを掃除してねとか車輪も掃除しましょうねくらいしか書いていませんので、スターターセットを買ってきてしばらく遊んでいると動きが鈍くなったりして「なんだ走らないじゃないか!」とお蔵入りしているものも少なくないんじゃないかと思ってます。かくいう私もその一人でした。ま、思い切って分解して掃除してみると最初は大変でしたが慣れるとそれも楽しくなってくるものです。そこまで来るとどっぷりハマリますね。(笑)

 

写真は旧3極モーターですが、整流子の部分やブラシもかなり汚れています。整流子は綿棒とかで拭いてやると綺麗になります。ブラシも同様ですが、あまり強く擦ったりするとパーツが取れちゃったりします(ハンダ付けすれば大丈夫ですが・・・)

これくらいのお掃除でもかなり走りが変わります。

 

左の写真は、中古で購入したものですが純正のオイルが固まってギアが動きませんでした。右の写真はレイアウト走行後ですが、情景の草なんかが台車と車輪の隙間に挟まっています。

 

台車もバラバラに分解して草なんかはピンセットで丁寧に取っていきますが、カプラーのスプリングとかよく紛失したりしますね(笑)

面倒な時は、リグロインとかでジャブジャブ洗ったりしますけども長時間漬けているとプラスチックは融けるので要注意です。引き上げると揮発性が高いのですぐに乾燥して大丈夫です。

 

組み立て直して、オリジナルのアナログ状態で組み立てています。DEP1で走行させてみると162mAとお掃除前の半分以下の電流で走りました。この状態でDCCデコーダに積み替えて走行させればほとんど快調なはずです。こんな整備をするためには、DCCデコーダを外してアナログ状態に戻せるドロップインタイプのデコーダが必須かと思います。DE25szrx4なんてドロップインデコーダを作ったのもそういう理由です。最近ではVelmoとかDigitrax製もありますね。

スタイロフォームの上に板を貼り付けたエンドレスで、調整するようにしています。DCC化して重連の2台の動力車の速度調整(スピードテーブル調整)もエンドレスでグルグル回しながら調整するためにも便利です。

 

DEP1では左端の小さなスイッチを押すと中のデコーダの設定が変更できます。BackEMFのON/OFFや各種パラメータの変更ができますので、実際のDCCデコーダでギクシャクしたりする走行の調整をアナログのまま確認できたりします。パラメータとかはちょっと知識が必要ではありますが。

表示のLCDが無いDEP3という製品もありますが、8年が経ちそろそろ終息のようです。

便利なんですけどね、すごく。 開発当初のポイント通過時のショート検出を長く延ばせるようにしたりとか、結構改良していただいて最高のパワーパックになったと思うんですが今更ながら終息のお話を聞いて記事にしてみました。2台持っているので当分は困らないと思うんですが、代替えのものはないでしょうね。。。

(Visited 83 times, 1 visits today)
最近の記事