2018年3月28日
スイスはゴッタルド風のレイアウトを製作中ですが、100%電化の国なのでどうしても架線は欠かせません。しかし、架線柱がドイツと違ってH鋼を使ったタイプで、見た目もだいぶ違います。写真はコルナバン駅で撮影したもので、ちょっとわかりにくいですが雰囲気の違いが感じていただければと思います。
Zゲージでは唯一、FR ModelからSBBタイプの架線柱キットが出ていたのですがしばらく生産中止になっていました。たまにeBay等で見かけるものの、数が揃わないと製作するわけにもいきません。ちょっと問い合わせてみたところ、2010年中旬に再発売するとのことで待っていたところ、9月くらいに大幅に改良されて発売になりました。そのラインナップと使用例をご紹介いたします。
製品番号#ZF480、#ZF480Sは、支線用の架線柱です。480Sは上部に電源供給用のガイシが付けられています。私のレイアウトでは使用しないので、この製品は未見です。単線のローカル線をイメージするならば最適でしょう。
製品番号#ZF481a~d は本線用のシングルタイプの架線柱です。aはシンプルなアームタイプで、直線区間に使われます。bはアームがダブルになっているタイプでこれはポイント部分や、張力調整部分に使用されます(後述)。cはアームが長いタイプでカーブの内側に使用されます。dはアームが短いタイプでカーブの外側に使用されます。
製品番号#ZF482は複線用のブリッジタイプです。直線、カーブとも両方に使用されます。カーブで使用する場合には、上の絵の右側がカーブの外側になります。
製品番号#ZF486、497は架線の終端用架線柱で487が張力調整用の重り付になってます。
実際の製品は、真鍮製でH鋼をベースにエッチングで作られたパーツを取り付けた精巧な仕上がりになっています。以前はキットでしたが、今回からは完成品のみになっています。カタログをもらった時点ではなかったのですが複線用のブリッジタイプにもアームがダブルになっているものや、右下のスイッチ(たぶん、変電所からの給電を切り替えるとか一部の架線をON/OFFする施設)が追加されています。
架線は、Sommerfeldt製のNゲージ用製品番号440~444あたりが適合します。
SBBの架線は上下間隔が広いタイプなので、Sommerfeldt製の架線はそのまま加工なしで大丈夫です。写真では片側のみ差し込んでますが、両側から差し込んで曲げて固定するのですが、アーム部分をテコにして曲げようとするとアームが折れますので、下側だけは曲げてから取り付けたほうが無難です。180度曲げなくてもいいかもしれませんし、架線集電しないならば接着剤による方法もあります。ちなみに半田付けする場合には、アームが塗装されていますので半田付けする部分の塗装を剥がす必要があります。
高さや中心に関しては、治具を作成して調整する必要があります。
自分のレイアウトにどのように配置すればいいかについては、難しいところなんですが私はFR ModelのHaraldさんに御教授いただきました。複線だけなので、すべてブリッジタイプにして終端用の架線柱も省略してしまえばシンプルなんですが、ゴッタルドの写真を見ると複線部分もシングルタイプの架線柱を使ってるみたいなのでこうしてます。
製品の裏紙に書いてある絵が割りとわかりやすいかと思います。左が渡り線があるパターンで、ポイント上ではダブルアームの架線柱になっていて本線の架線が曲がっていっているのがわかると思います。左本線上の架線が一番上の架線柱の柱部分に接続されていて、そのまま下へ向かって張られています。
右は通常の複線ですが、真ん中2つがダブルアームになっていて一番上と一番下の架線柱の柱に接続されています。これは架線そのものが1500mくらいの単位で分かれているので、途中で接続している部分はこうなってますという例です。下側中央には点線で終端用の架線柱の例も描かれています。この部分は凝るのであれば、終端用の架線柱も張力調整用の重りが付いているタイプにするとよいでしょう。架線の接続部分を表現する場合には、このようにダブルアームタイプ(ブリッジでもシングルタイプでも)が2つ連続する必要があります。
私のレイアウトだと2方向へ分岐する部分があるので、ダブルアームが2つ付いているブリッジタイプをわざわざ作成していただきました。
実際に届いた製品です。上側がカスタムで作成していただいたもの。台座部分はプラ製で固定はされていませんので、高さ調整(レイアウトに穴を開けて差し込む深さ)後に接着する必要があります。写真でうまく撮れないのですが、H鋼をつないでいるブリッジ部分はエッチングで、上から見てもスリットが入っていてなかなかリアルです。
既製品の建物のバリエーションが少ないZゲージにおいては、ドイツだかスイスだかわからないようなレイアウトになりがちですが、架線柱が違うだけでもスイスっぽくなります。欧州のレイアウトを見るともっと細かいところまで凝っているものを見かけますし、MIBA等の雑誌でも特集で解説されています。普段、何気なく見ている架線も模型の上で表現しようとすると「なぜそのような構成になっているのか?」と疑問が沸いてきます。いろいろと調べてみるのも楽しいかと思います。どこかにこだわりがあるのもスケールモデルの楽しみの一つではないかと思ってます。
FR Model Webサイト
現在はWebで簡単に購入できるようになってます。メルクリンのような大メーカーではありませんので、いつまで継続されて販売されるのかはわかりませんから、ご興味のある方は手に入れておいた方がいいかも・・・
**** 解説が悪くてわかりにくいかと思いますが、架線の専門家ではありませんので、間違いや勘違いもあるかと思いますがご了承ください。
すでに絶版になっています。