1-1-3 車両メンテナンスとDEP1

   メルクリンZゲージ車両のメンテナンス

 メルクリンZゲージの動力車は、分解図(パーツリスト)が用意されていることでもわかりとおり、メンテナンスが必要です。「分解したら保証外」という日本製品とはまったく逆ですね。考え方の違いですが、パーツ交換すれば長く使えますよということでしょう。自動車も欧州車は2~30万キロ走りますなんてのも、メーカーがパーツを長年供給していることで実現するわけで、基本的にはメンテナンスが必要です。DIYの精神というか、長く使うというのも一つのエコとして捕らえているかと思います。

日頃のメンテナンスにいちいちドイツまで送るわけにもいかないですし、ショップに持ち込んで(そもそもショップが無い)掃除してもらうなんてのも非現実的です。多少面倒でもお掃除は自分でやりましょう!以下、私がやっている方法です。

スイス機のRe460を例にします。奥の車体にはDE25x4szrデコーダ搭載のDCC機です。手前はオリジナルのアナログ。どちらも基板のネジを緩めて外します。

これは、中古で購入したもので3極モーターが搭載されています。モーターを取り出すには黒いプラ製パーツをネジ2本外してそれぞれ外してから、ウォームギアを外せば取り出せます。

ちょっとわかりにくいですが、どちらもブラシを外していて上が綺麗にしたもので下はこれからお掃除しようとしているモーターです。ブラシも黒いですね。

  

リグロイン等を染み込ませた綿棒でモーター軸の辺りを拭き取ります。ブラシは擦ると先の方に付いている整流子に接触する部分が取れちゃうので、リグロインで洗う程度です。右は洗った後の模様。ま、こんな程度です。ブラシは消耗していれば交換します。かなり走らせないと無くなってはきませんので、そんなに交換する必要はありません。交換の際はモーターに合ったものを購入しましょう。特に3極と5極では違いますのでご注意を。

余談ですが、中古で購入すると走りが悪くて中を開けてみるとオイルが固まっていたりサビが出ていたりするものがあります。こういうのもリグロイン等で洗っちゃえば綺麗になって復活します。数十年箱の中で補間されていたり、まったくお掃除していないものなんてのはたくさんあります。この辺で「走らなくなった・・・」と諦めるか、新品同様走行するようになるのかはお掃除です。

  

台車はモーターよりも汚れやすく、頻繁にお掃除が必要です。台車を留めている棒を時計ドライバーで押してやると簡単に外れます。この時、棒が外れにくい場合にはオイルが固まっていたりすることがほとんどですので、この棒も洗ってあげましょう。右の写真のようにRe460の台車はカプラーと反対側のツメを押し下げると分解できます。下のように3軸のものはネジを外すことによって分解ができます。

こんな感じでバラバラです。初めてやるときには裏蓋を外す時にカプラーのバネを飛ばしてしまうことが多いかと思いますので注意が必要です。ビニール袋とかの中で分解するのもパーツを無くさない工夫です。また、カプラーや特にバネは予備を用意しておくと安心です。それほど高いものではありませんし。KDカプラー(マグネマティックカプラ)のバネも利用できますが、やや強いバネになります。

スピードが上がらないとか、ガクガクする要因の一つが車軸に絡まった糸くずです。レイアウトを走行させているとシーナリーに使っている木や草の材料なんかが絡みついてきます。これが意外とやっかいで、ピンセットで取り去りますが巻き付いているので取りにくい・・・ここまで分解しなくても、台車の隙間からピンセットで掃除することも可能ですが、分解した方が確実かと思います。

  

後はリグロインで洗って、写真は綿棒等でレールに触れる面と内側(集電シューが当たる)を綺麗にします。

 

さて、元に戻す作業です。まずはカプラーを先に入れます。普通はどうやるのか知りませんが、私はカプラーでバネをすくってカプラーポケットに斜めに押し込むやり方です。慣れると一発で入ります。右は中央2つのギアも戻した状態です。

  

車輪は集電シューをピンセットで挟んで、台車パーツに置くような感じです。こういう先がカーブになったピンセットが便利です。車輪はカプラーとは反対側から入れます。カプラー側から先に入れるとバランスが崩れて大抵倒れます。そうするとやっぱりカプラーのバネが飛んでいくはめに・・・。 カプラー側の車輪も集電シューを挟んで入れます。

  

裏蓋(カバー)はカプラー側に引っ掛けるようにして後ろ側を押し込みます。そーっとやらないと集電シューが車輪から外れたりします。。右は無事元に戻ったところ。

組みあがった状態で、机の上を前後に動かしてみてギア類がスムーズに動くようであればOKです。スムーズに回らない場合は、オイル固まりかギアの溝部分にサビやごみが貼り付いている可能性があります。

全体を組み立てれば、お掃除は終了です。

  

ここで、タイトルにもありますDEP1が登場です。うちでは動力車の調子を見るために、キャビネットにMTLの道庄付レールをエンドレスにして貼り付けてあります。手前の赤いBOXがDEP1です。DEP1はPWMコントローラで、BEMF機能(坂でも一定速)も付いた高機能パワーパックです。永末さんのところのWebにも書いてあるとおり、「据え置き型でコーダ」の名前が示すように中身はDCCデコーダー+ボリュームSWです。ですので、アナログ状態の車両をデコーダを搭載したときにどうなるのかを試せる便利な装置です。もちろんデコーダのパラメータも単体で変更して試せます。

元々、DCC化するのに改造が必要なZゲージでは手を出す方が少ないので、DCC化したときの楽しさの一部(BEMFとか)を知ってもらうために永末さんに作っていただいたのですが、今はどちらかというとアナログ運転用はもちろんのこと、お掃除後の試走に活躍しています。特にディスプレイの右下に出ている電流値が一つの目安になっています。アナログパワーパックしかない方は出力に電流計を接続すれば、目安にはなるかと思います。

  

瞬間的に値が変わりますので、難しいですが左が3.5Vで170mA、右が5.1Vで212mA。大体、150~200mAくらいでスロットルを回していったときに徐々に電流値が増えていくのが正常です。

これで基板をDE25x4szrに交換すれば、DCCでも快適な走行です。なぜ、アナログ基板に戻せるDE25x4szrが必要なのか少しわかっていただけたでしょうか?

メンテナンスすることで、アナログでも低速走行もできますし、モーターを焼いてしまうようなことも防げます。お掃除はメルクリンZの欠点でもありますが、長く楽しめる秘訣でもあります。1972年の車両がいまだに走行できるんですから。

最後にまた余談ですが・・・これは新品5極モーターに改装した車両です。3.0Vで357mAも流れてますね。もっとスロットルを上げると500mA以上流れます。数十秒この状態で走らせると持てないくらい熱くなり、1分も経たない間にモーター部分から煙が出てきました。台車類もお掃除したところですし、問題はないはずなんですがたまにこんなモーターに当たります。ブラシ交換も効果なく、もう諦めて捨てるしかないモーターです。超低速とか、5極の方がスムーズな挙動を示しますが、どうも製品のばらつきが大きいような気がします。アナログ運転では、モーターを焼く程度ですがDCCだとデコーダが焼けちゃいますので、事前の確認は十分に行なったほうが吉でしょう。

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